アルファベットの収穫

Aを拾い、Bを拾い、Cを拾い、Dを拾ったところで、だいたい見当がついてくる。Eがあり、得心顔で、道を進むと、案の定、Fが、訳知り顔で落ちている。とんとん拍子は続くだろう。Gを拾ってじーっと見る、Hを見てそういえば最近してないななどとほくそ笑み、Iに勃起した陰茎を思い、J、K、と来た辺りでは、なるほどJK、女子高生とは気が利いている、などとろくでもない駄洒落やら妄想やらも繰り広げられる余裕まで出てくるだろう。L、M、なんだ、サイズを聞かれているのか、LだLだ、大は小を兼ねる、大便すると小便も出る、などと、酷い連想をだだ漏らし。Nを横倒しにしてZに見立てて、これでゴールにしようなどと、早くも飽きが来たようだ。ああ、もう秋だな、うん、秋だ。収穫の秋だ。新鮮なアルファベットがアルファベット順に落ちているわい、わっはっは、と下卑た大笑いがアルファベットの森に鳴り響く始末。Oを拾って輪投げをし、Pをステッキにして雨が唱えばゴッコを始めたかと思えば、Qを紫陽花の葉に這わせている。ずいぶん、手慣れたもんだね。Rを拾ったのでR。Sが履くのはデザインベルト付きロングブーツ、Tを拾ってティータイム。Uはあなたで私は愛。Vの楔は息継ぎの合図、Wと嫌なファッションと高校生、Xデーはいつ来るの?Y談独りで盛り上がり、Zでいつも眠るもの。おやすみなさい、アルファベットの兄弟たち。ZZZZZ。