2005-01-01から1年間の記事一覧

一部エキサイト翻訳による英訳付き。

「特殊な自由人は、慣習を点検して見て、それが成立するに至った必然性を実感しない限り、それに従おうとはしない。いわば、彼は、人間が其の習慣を形作るに至った何百年かの過程を、一応自己の中に心理的に経験して見ないことには気が済まないのである」(…

結婚パーティー

渋谷にある会場の前には人だかりが出来ていた。黒い背広の男が、車のために道を開けるよう訴えている。 片側だけ開け放たれた観音開きの扉から入場すると、早目に来ていた荒井と網野さんが簡素な受付をしていた。網野さんが受付の声になって、出席表へのチェ…

新居、来襲

先日、新婚さんである高野さん夫婦の新居を訪ねた。誘われたのだった。 貴重な休日に、僕なんかがお邪魔しては悪いかなと思ったのだけれど、新婚家庭というものに興味があったし、結局、お招きにあずかることにした。 極度の出不精である自分にとって、こう…

よつばと!

「あさぎさん、こんにちわ」挨拶をする。挨拶をする人は人に好印象を与えるということを知っているということを示した。「うさぎさん、こんにちわ」 「うさぎさんは、いないよ」と、あさぎさんが教えてくれた。「あさぎさん、だけで十分だよ」 「あなたは今…

50 ON 

愛飢えを。書き、苦、気、来。刺しす、背、訴。他膣、手と。何濡ねの。歯、皮膚、屁、歩。真美、無、眼も。揶揄よ。話ON。 * 「虹の彼方に」の文庫、12ページが破れている。5年前に、バロウズを真似して手当たりしだいの小説を破っては細かく切り刻み…

完璧な日記

放置禁止区域に止めてあった自転車のマッドガードに「ユダ」と書かれていた。 * 昔、「プラウドマン」という名の競走馬が走っていた。誇り高い男が跨っていた。 中山競馬場の長い地下道。赤鉛筆を耳に挿んでいる典型的な中年の男二人が、大声で「やっぱ、プ…

I was born to fall in love

昨日の日記に付け加えることがある。ブックオフでのこと。 売れる小説とはどんなものなのだろう、と開いた「世界の中心で愛をさけぶ」の中に、四つ葉のクローバーが挟まれていた。押し花のように乾いていた。本を閉じた。 * 机に缶コーヒー微糖。「微糖」と…

山田亮太に――

小説のことばかり考えている。 日記は書かなくてもいいのだけれど、更新のための更新をする。なんでもいい。 2005年1月号の現代詩手帖について、書く。 手元に置いていないのがたたって参照できない人のために、身悶えるような苦痛のひとときを演出した…

おんぷたんに――

「まいちゃんのたてぶえなめたかさいくん/谷町線でぐうぐうねてた」(今橋愛「O脚の膝」) * おジャ魔女どれみナ・イ・ショ、第8話『リコーダー事件!〜優等生のないしょ〜』をこの前見た。 学級委員長の優等生の男の子が好きな女の子の縦笛を舐めようと…

川田絢音、その19

「ガラス切りで切りとった空を抱えて歩いて行く天使の垂れ流しの血の跡から夜明けが」(川田絢音「空の時間、その19」) * 「ねえ、見て」おんぷたんが空を指差して言った。「明るくなってきたね」 「ガラス切りで切りとった空を抱えて歩いて行く天使の垂…

ビッグコミックオブジョイトイ創刊

曽我ひとみさんと林真須美さんの区別もあやふやなまま毎日が過ぎ去っていきます。 ビッグコミックスペリオールって意味不明なコミック雑誌名に対抗して、ビッグコミックオブジョイトイっていうのを考えたので、僕が創刊します。 グラビアページは毎回インリ…

生沼義朗歌集「水は襤褸に」を読む

清水国明がその全容を知っていると自称するブックオフに、誰も読まないような歌集や句集が100円で売っているので、たまに買う。 こういう本の面白いのは、「誰々様へ。著者名」というような贈呈を示す紙が栞代わりに挿んであったりするところだ。 「せっ…

川田絢音、その41

「眠れ/何処からでもはじまる階段は卵ひとつない正午の空へ通じている」(川田絢音「空の時間、その41」) * ドラエもんを読むと「どこでもドア」が欲しくなるように、この詩を読むと「どこからでも階段」が欲しくなる。 旅先などで、ふと、その場を俯瞰…

川田絢音、その59

「夢の中でのように/凶暴に/ひばりのいない空にひばりを見る」(川田絢音「空の時間、その59」) * 夢の中では、発見と発明が同義であり、自分がそこで見つけるものは、常に自分が創り上げたイメージである。 創りたての鳥が、見つけられては忘れられ、…

川田絢音、その16

「眼の/血の波音の/指先にみちる火の/脚の/眼の隈の/右の乳房の/言葉を」(川田絢音「空の時間16」) 改行ごとに意味を区切る読み方と、すべての行をつなげて意味をとる読み方とあるが、後者が正しいと思う。 詩人の主要な役割の一つは、未知の言葉…

川田絢音、その13

「ガラス窓を飲んだ女は夜明けの発作をおこして指先までわななくだろう」川田絢音「空の時間、13」 空の時間の中でもとりわけ好きな一篇。 通常、人は、時代と文化に依存した記号的な見方によって視野内の事物を区分し、意味付けて生きているが、時折、現…

懐かしき日記に――

今日は「見分け方」だ。ポケットが不自然に膨らんでて、中身がアブラゼミだったら、そいつが生き物係だ。遠慮なくクラスの痴呆老人の世話をさせていい。ただし、中身が単ニ電池だったらそいつは目覚し時計の電池の大きさを間違えた頭の弱い時計係だから、ひ…

枡野浩一に――

嫌いだ嫌いだと喚いていても自分が狭くなっていく一方なので、ちょっと好きになってみる。 考えてみれば、僕の目標は全人類を全肯定できる言葉を身につけた究極のヒューマニストになることだった。 あまり好き嫌いせずに、一人一人丁寧に好きになる努力をし…

影山由美に――

僕の嫌いな枡野浩一が、自分で暗唱できないような短歌を作るな、というようなことを言っている。 とてもいいことを言っていると思う。 僕が目指しているのは、全文暗唱したくなるような、そういう完璧な小説なので、毎日自分の進行中の小説を読み返しては、…

セブンの店員に――

統合失調症的な世界との過剰な一体感で泣きじゃくりながら外を歩き回った後には、 指先1本動かしたくない鬱状態に襲われて一日布団の中。 そして、生き別れた正気さんとの再会。おお、正気さん!一日ぶりですね。元気でしたか。 コンビニで、「こちらこのま…

正気に――

統合失調症があげる特徴のほとんどがあてはまる状態で、 正気との生き別れはそろそろかもしれない。 僕は口にする言葉に絶対性しか感じることができない。 早く小説を書き終えてしまいたい。一語一語が怖い。

投げキッスに――

今日は企画を変更して、投げキッスについて考えてみたいと思います。 キッス関連のヒエラルキーを考えると、「投げキッス<間接キス<窓越しのキス<普通のキス<ディープキス」という位置付けが一般的でしょうか。 キッスヒエラルキー最下層であるにもかか…

虫に――

更新頻度少なめにするといった途端に更新するのはよく見られる現象なので少なめに見てください。 あるいは、多めに見てください。多めに?いや、中程度に見てください。 一文につき一文だけを読んでください。 コーラ一杯で、部屋の壁の模様を3時間眺めてい…

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近頃では、以後の事と以前の事を極力考えない精神修行の成果のためか、 長期的な展望や、物語の全体的な意味などを理解する能力が著しく減退し、 長文も一文一文単位で、俳句の連なりのようにしか読めないため、 小説や哲学はもちろんのこと、詩も読めなくな…