ビール飲みたい

「今日は惣菜屋の揚げ物を食べよう」と、僕は提案した。
「じゃあ、よつばは、カキコロッケを食べる。カキコロッケ!カキコロッケ!」と、よつばが騒いだ。
「え?カキフライのことか?」と、僕は訊いた。
「カキコロッケがか?」と、よつば。
「そう、カキフライがさ」
「うー」よつばがうなった。「うー。カキコロッケだよ」
「カキコロッケな。いいだろう。カキコロッケ、買おう。お、ちょうどいいところに惣菜屋だ。カキコロッケください」総菜屋のおばさんに言ってみた。
「はいよ。いくつだい?」応えが返ってきた。半ば自暴自棄で言ったのだが、ほんとにあったのだ。
「じゃあ、3つ」数を言った。
「はいよ。3億個ね。300兆円」とおばさん。
「はい。300兆円」僕も、惣菜屋のおばさんの自暴自棄っぷりにはかなわないと思いながら300円出した。
「ほら」僕は、おばさんから受け取ったカキコロッケの袋を、よつばに渡した。
「でけー」カキコロッケを手にしたよつばが感想を述べた。
「おお、でかいな」同意した。
「原寸大だな」よつばが言った。
「原寸大?」
「等身大だな」
「ああ、等身大だな。背伸びしちゃダメだ」
もう面倒になってきた。カキコロッケにタルタルソースかけて、ビール飲みたい。ビール。