彗星の飼い方

地面にいっぽんの棒杭がさしてあって
そこから紐が遠く天へと昇っている
入道雲のてっぺんを突き抜けて
宇宙の遙かを流れ続ける彗星のひとつを結んでいる


彗星の飼い方を学ぶには
まず地面の飼いかたを学ばなければならないけれど
ぼくはぼくじしんの飼いかたすら知らないから
途ほうに暮れてぼうくいのように突ったっているままだ


ぼくからのびているひものさきで
うながすようになにかがぼくをひっぱる
ぼくはへんじをするように
こめかみにゆびをあてておじぎをする