川田絢音、その3

「無垢な窓を/内へ/内へと/開け放って/悲鳴ははれやかに疾走しなければならない」(空の時間・3)

「空の時間」でもとりわけ好きな詩のひとつで、川田絢音の詩人としての本領がいかんなく発揮されている一篇だと思う。
ちなみに「悲鳴」は、第3詩集のタイトルにもなっている重要なキーワードで、「川田絢音の声や言葉の一切は、すべて悲鳴の多彩なヴァリエーションである」と考えている私にとっては、その意味でも重要な詩だ。
さて、困ったことに、この詩に関しては、あまり言うことがない。
「本当によい詩は解釈を拒む」というのが私の信念だ。
詩は本来、「言語化不可能であることを言語化しようとする途方もない試み」であり、その本質上、完成度の高いものは特に、通俗な物語化や価値判断からは最も遠いものにならざるを得ないのだ。
というわけで、少なくとも私には、今のところ、この詩を解釈する気が起きないし、できない。
素晴らしい詩だ、と感想を抱くだけで終わりにする。
私の力量を軽やかに超えています。逃げます。